2024年9月22日日曜日

網走うるし見学会レポート 後半

午後は、漆ギャラリー&珈琲れんかにて昼食会を開きました。

れんかさんは、店主ご夫妻が天然素材である漆の魅力に感動し、その素晴らしさに触れられる場として開いたお店です。お食事は、生産者との繋がりを大切にし、身体に優しい食材と調理法で提供されており、この日も美味しいランチをいただきました。

ギャラリーに展示している網走うるしの会 会員の作品

おもに拭き漆という技法で仕上げています。


昼食後は、網走うるしの会の会員であり、「野つけうるし」という屋号で漆の仕事をしている筆者(菅原)が、漆の基本的な植生や特徴についてお話ししました。

ウルシはどのような木なのか?

どこに生えているのか?

世界の漆と日本の漆、その自給率は?

樹液(漆)の特徴とは?

漆掻きのプロセスについて

これらの基本的な内容に加え、塗りに使用する生漆や弁柄漆、塗り刷毛やヘラ、漆掻き道具などもご覧いただきました。

漆は天然の塗料ですが、日本ではその多くが人の手で育てられ採取されています。また、漆塗りの道具も職人の手によって作られています。数多の仕事に共通することではありますが、漆や漆塗り道具がどれほど自然環境と人の手に依るものなのか、参加者の皆さんにも感じていただけたのではないでしょうか。


今回は、漆の木を中心に見学しましたが、今後はその樹液がどのように使われるのか、漆塗りについても知っていただける機会があればと個人的に思います。使う人あっての漆です。漆塗りについて知ることで、漆をより身近に感じていただけるかもしれません。

最後になりますが、雨がパラつき肌寒い中ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

また、準備や当日のサポートに尽力いただいた会員の皆さんもお疲れさまでした。美味しいお食事と素敵な場所をご提供くださったれんかさんにも、心より感謝申し上げます。


記録:菅原

網走うるし見学会レポート 前半

 9月15日(日)に網走うるし見学会を開催しました。今年は、当会でもまだ漆を見たことのない会員さんを中心に参加を募り、昨年ご参加いただいた方とのご縁で、NPO法人創成塾の方々もセミナーの一環としてご参加いただきました。

当日の行程は、漆植栽地と漆掻きの見学、網走市の南公園にあるウルシ記念樹の見学、そして漆ギャラリー&珈琲れんかにて昼食会と漆のお話会という内容で、網走の漆に触れる充実した一日となりました。

参加者の多くは網走在住の方や、仕事で網走に関わっている方々で、地元に北限の漆が存在することや、漆掻きという独特な採取方法に驚かれたようです。

漆植栽地では、ウルシの木の植生や特徴について解説しながら、葉や実の形、漆掻きの跡を観察しました。  

当日は、網走うるしの会のHさんが漆掻きの実演を、Tさんが漆掻き体験を担当してくださいました。Hさんは一つ一つの動作について丁寧に説明し、Tさんも漆の魅力や性質について語りながら体験をサポートしてくれました。

当会から一人、創成塾さんからも一人が漆掻きを体験し、まさに「漆の一滴、血の一滴」を実感されたのではないでしょうか。



網走市の南公園にはウルシ記念樹があります。その歴史については安政五年(1858年)から万延元年(1860年)頃にかけて本州から移植されたものであり、函館奉行所が会津より取り寄せたとされています。また、このウルシ樹林地は、所有者の網走市名誉市民・中川イセ氏のご好意により平成十年に網走市に寄付されたものでもあります。

詳しくは記念樹に設置されている看板の文章からご覧いただけますので、ぜひ足を運ばれてみてください。

南公園の立て看板


後半へつづく